成年後見制度とは?⑥ 大変なこと

成年後見制度

さて、勉強会を開催した時に、参加者の方から質問されたことがある「実際に後見人をやって大変なことは、何ですか?」にお答えします。

成年後見人としての大切な役割の一つは「金銭管理」なので、やはりお金にまつわることが多いですね。

大変なこと① 通帳の一本化

家庭裁判所から後見人等の審判が出て、登記が完了した後に、「登記事項証明書」を取得して、ようやく第三者から法的な代理人として認めてもらえるので、さまざまな手続きがスムーズにできるようになります。

後見人等を必要としている方は、金銭管理が苦手、あるいはほとんどできない方ですので、まずは状態を把握することがスタート地点です。

人によっては、5つも6つも金融機関の口座を持っていたり、大切な年金証書等を紛失してしまっていたりします。

一番問題となるのは、「年金などのお金が入ってくる通帳」と「公共料金などのお金が出ていく通帳」が別々の場合です。これはもう最優先で、一つの通帳にまとめる手続きをします。

あとは、残高がほとんど残っていない通帳も解約してしまいます。年に1回、必ず家庭裁判所に報告する必要がありますので、なるべく少なくした方が、自分も管理しやすいですし、報告も楽になります。

解約の時に少し困ったのは、普通の金融機関の口座であれば、その日のうちに完了してしまう手続きも、○○組合などの口座の場合は、出資金があったりして、解約するまでに1か月くらいもかかってしまったことでした。

金融機関ごとにルールが違うので、仕方がないとはいえ、時代に合わせて利用者本位の仕組みになるといいなぁとは思います。

年金関係書類も保管されていないことが多いです。ですので、年金事務所に相談の予約をして、後見人等の届をして、書類の送付先を自分にしてもらい、必要に応じて証書の再発行なども手続きします。

金融機関や年金事務所での手続きは地味ですが初めにやっておくべき大切な作業ですね。(逆に言えば、最初にやってしまうことで、後々の自分の仕事が少し楽になるのです。)

大変なこと② 遺産分割協議

私が支援している方の中で、ご本人の親が亡くなられてしまい、遺産相続の手続きをする、ということも、まだ仕事を初めて2年足らずですが、すでに何件かのお手伝いさせてもらいました。

法定相続分の相続する形が原則ですが、ご家庭ごとに事情がありますので、すんなりと等分して終わり、とならないことも当然のようにあります。

そんな時は、家庭裁判所に連絡して、後見人の立場としてはA案で考えていますが、場合によってはB案で進めてもよろしいでしょうか、のように方針案を確認しながら進めることがあります。

私がお手伝いしている方が、一切の財産を受け取らないという結論になったケースもありました。ご本人も、亡き親の面倒をあまり見て来なかったという負い目もあり、相続がなくてもその後の生活に特段の影響はなかったこともあったので、相続放棄という形で決着しました。

遺産相続については、否応なくこれからドンドン経験値が上がっていきそうな分野です。

(実際、相続案件を1件取り扱っている最中であり、勉強しながら間違いのないように確認しながら、慎重にお仕事をさせてもらっています。)

判断に迷った場合

先ほども少し触れましたが、後見人等自身が判断に迷った時は、家庭裁判所に相談することができます。大抵のことは、後見人等の判断で進めてもよいかと思われますが、高額なお金に関すること、財産の処分に関することなどは、家庭裁判所に相談の上、助言を受けたり、許可を得てから実施しないといけません。

本人の利益にかなっているか(本人の不利益になっていないか)などを慎重に判断しなければなりません。後見人等の独断により、ご本人に不利益なことを選択してしまってはいけないのです。

金銭管理以外で大変なことは、やはり施設探しでしょうか。親族、ケアマネージャー、相談員など、いろいろな方の協力をもらいながらやっているお話など、まだまだ書き足りないので機会をみて、また加筆したいと思います。

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