行政書士って、なに? ~行政書士になる方法~

行政書士開業

私は、行政書士の資格をもってお仕事をしています。

「弁護士とかは、聞いたことあるけど…。行政書士って、なに?」と思われた方もいるのではないでしょうか?

今回は、「行政書士って、どんなお仕事?」や「行政書士って、どうやったらなれるの?」という疑問についてお話します。

行政書士とは?

日本行政書士会連合会のホームページ より引用しますと…

行政書士は、行政書士法(昭和26年2月22日法律第4号)に基づく国家資格者で、他人の依頼を受けて報酬を得て、官公署に提出する許認可等の申請書類の作成並びに提出手続代理、遺言書等の権利義務、事実証明および契約書の作成、行政不服申立て手続代理等を行います。

と書かれています。小難しいですね。

私なりにわかりやすく説明すると、「一般の方が自分で作るのはメンドクサイな」と思うような書類をその人の代わりに作成し、市役所等に提出することで、報酬をいただくお仕事です。

前回も書いたように、一言でいえば、書類作りの「何でも屋さん」です。

行政書士としてやれる仕事の幅は広く、相続、営業許可、土地利用、法人設立、自動車に関すること、それぞれの「許可申請」「届出」「協議書」「契約書」等を作成します。

仕事の幅が広いということは、仕事の可能性が広いという意味では良いことですが、「自分の得意分野を持つこと」=「自分の領域展開ができること」が何より大事だと思います。

なぜなら、他の人よりも「知っていること」や「経験したこと」が多く、他の人よりも「より短時間」で「よりよい仕事」を行えるからです。

(出典)呪術廻戦: 最強の呪術師・五条悟の領域展開。(マンガ好きなので、時々ネタをぶっこみます。あらかじめご了承ください。)

ただし、注意点があります。「それぞれの専門の士業だけがやってよい仕事」の範囲が決められた法律があり、「無資格の人が、他士業の仕事をやってはいけません」というルールが定められています。

例えば、弁護士法により「紛争解決や裁判は、弁護士」、司法書士法により「登記関係は、司法書士」、税理士法により「税関係は、税理士」等の定めがあり、法律を破ると罰則があります。

罰則とは、弁護士法の例で言うと、非弁行為を行った者(弁護士でない人が弁護士のようなことをした場合)は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処す、と定められています。厳しい…。

ですので、「行政書士は、書類作りの何でも屋さん」とは言いつつも、うっかり他士業のナワバリを侵害しないように、注意しながら仕事をする必要があります。

「話し合いや簡単な書類作りは、お手伝いできます。」「でも、争いごとの示談や裁判の書類作りは、別の専門家のお仕事になりますね。」と、弁護士さんにおつなぎすることもあります。

「お金がなくて、弁護士さんには頼めない。」という方の場合は、法テラス(※)の相談窓口を紹介したり、問題解決に向けた助言を行います。

法テラスとは、2006(平成18)年4月に、国(法務省)によって設立された法的トラブル解決の総合案内所です。「民事法律扶助」と言って、経済的に余裕のない方等が法的トラブルにあった時に、無料で法律相談を行い、必要な場合、弁護士・司法書士の費用等の立替えを行う業務等を行っています。

行政書士になる方法は3つ

「行政書士になりたい」と思ったら、まずは各都道府県の行政書士会(単位会と言います)に電話またはメール等で問合せをして、登録に必要な資料を送ってもらいましょう。

問合せの連絡先は、日本行政書士会連合会 単位会所在地 をご覧ください。

行政書士として登録するためには、大きく分けて次の3つの方法があります。

方法1 行政書士試験に合格する

方法2 「弁護士」等、定められた他の資格を持つ

方法3 高卒で公務員として17年以上勤務する

どれか1つの条件を満たし、単位会を通じて、日本行政書士会に登録申請をします。

詳細は、日本行政書士会連合会 行政書士になるには をご覧ください。

方法1 行政書士試験に合格する

正攻法は、行政書士試験に合格することです。

次回の試験を受けようと思う方は、7月ころに開示される試験案内を要チェックです。

・試験案内 … 毎年、7月~8月ころに公示され、案内が配布されます。

・受験資格 … 年齢、学歴、国籍等を問わず、誰でも受験できます。

・受験手数料 … 10,400円

・申込締切 … 毎年8月下旬

・試験月日 … 毎年11月中旬(日曜日)

・合格発表 … 試験の約2か月後(翌年1月下旬)

詳細は、行政書士試験研究センター をご覧ください。

合格に必要な勉強時間は、独学の場合は800時間以上と言われています。

1日3時間の勉強時間を確保したとして、9か月は必要な計算です。あまりお金をかけずに独学で取得したい方は、時間をかけるしかありません。

独学に不向きな方は、お金はかかりますが通信講座や予備校等を利用して、ある程度、強制的に勉強する環境を作った方が良いでしょう。

通信講座や予備校等を利用した場合は、約600時間が合格ラインと言われています。それでも1日3時間で6か月は必要な計算です。必要な受講料は、50,000円~300,000円と幅があります。

後述するように私は行政書士試験は受けていませんが、もし、私が通信講座を選ぶならクレアールさんにすると思います。

理由は単純、費用が安くサポートが充実し、効率的な学習で300時間以内で合格を目指せるからです。

申込みのタイミングにより割引価格が適用され、一般価格より安く受講できる場合があります。

方法2 特定の士業になる資格を持つ

弁護士、弁理士、公認会計士、税理士になる資格がある人は、行政書士試験を受けなくても、行政書士会に登録申請し、登録料等を納付することにより、行政書士としてのお仕事ができます。

ダブルライセンス・2つの資格をもってお仕事している人って、かっこいいですよね。憧れます…。

方法3 公務員歴17年以上

先ほど行政書士試験を紹介しましたが、私は、「公務員歴17年以上」の条件によって資格を得ました。公務員を長年続けると、なんと無試験(!)で行政書士の資格が得られるのです。

行政書士法第2条

六 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間及び行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。以下同じ。)又は特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して二十年以上(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校を卒業した者その他同法第九十条に規定する者にあつては十七年以上)になる者

法律の文面って、なんでこんなにとっつきにくいんでしょうね…。

これを知った時、「あれ?オレ、条件満たしてるじゃん。資格もらえちゃうの?」と思いました。

公務員であっても、知らない方がほとんどだと思います。

行政書士登録証: これだけ伏字してしまったら本物かどうかわかりませんが、ご容赦ください…。

「公務員歴があります」ということを証明するためには、【公務員職歴証明書】が必要です。

日本行政書士会 新規登録の手続き の中の[場合によって、必要な書類]のところにPDFで様式データがあります。または、単位会から必要な書類を送ってもらえば、その中に公務員職歴証明書の様式と記入例がセットで入っています。

念のための補足説明ですが、証明書は自分で勝手に作って行政書士会に提出しても無効です 笑。

きちんと勤務先の人事課とやり取りして、発番と公印を押してもらった書類でないと、正式なものとは認められませんので注意が必要です。

ちなみに発番とは、文書発出番号の略で、「どの部署が出した何番目の書類か」がわかる番号のことです。それぞれの組織によって異なりますが、例えば、「人証第12号」であれば「人事課が証明書類として出した12番目の文書」という意味です。

もう一つちなみに、公印とは、「公式な証明をするハンコ」のことで、例えば、「○○市長の印」と書いてあるような四角の印ですね。

私の場合は、在職中の9月ころに事前審査用として1部、退職後の4月1日付けで正式に登録申請する用に1部、合計2部作成してもらいました。

「公務員を早期退職して、行政書士会に登録申請してみたけど、条件を満たしていませんでした…。」となってしまったら何にもなりませんからね。

退職前に行政書士会に事前審査を依頼しておき、「退職後に登録申請をすれば、行政書士になれますよ。」というお墨付きをあらかじめもらっておきましょう。

入会金や維持費が必要です

条件を満たして、登録申請をし、書類審査が通った後、行政書士会から案内が届きます。

その案内に従い、登録免許税と登録料(登録手数料+都道府県別の単位会入会金)を支払い、名簿に登録されることで、行政書士としての活動ができるようになります。

申請から登録まで、約2か月かかります。

私の場合は、4月1日に登録申請を出して、5月15日付けで正式登録となりましたが、登録決定の通知が届いたのは6月1日でした。実質ちょうど2か月かかったということですね。

「登録免許税」は、30,000円です。郵便局で収入印紙を購入して、納付します。

200円くらいの少額の収入印紙は、コンビニ等で買えますが、高額な収入印紙の場合は、コンビニや小さい郵便局では取り扱いがなく、大きい郵便局等に行かないと買えないかもしれません。

「登録手数料」は、25,000円です。都道府県会の指定口座(新潟県会の場合は、ゆうちょ銀行)に振込みで支払います。

「単位会入会金」は、都道府県によって金額が異なり、新潟県会の場合は180,000円です。

最も安いところでは100,000円、最も高いところでは250,000円と幅があります。概ね200,000円くらいと考えておけばよいでしょう。これも、指定口座への振込みになります。

その他に、単位会の年会費もあります。これは、毎年、支払い続ける必要があります。単位会によって金額が異なり、年間で60,000円~80,000円と幅があります。

新潟県会の場合は年60,000円です。前期分として4~9月分30,000円を4月末までに、後期分として10~翌年3月分30,000円を10月末までに、2回に分けて納付します。

なお、ちょっとした豆知識ですが、登録の時期によって、初回の年会費の負担額が変わります。

例えば、9月登録なら前期分も納付が必要ですが、10月登録なら後期分だけで済む、ということがあります。

ですので、少しでも負担を減らしたい場合は、事前に単位会に問合せをしておくと良いでしょう。30,000円は大きな金額ですからね。

さらに、単位会の中に支部会費なるものもあり、私の所属する支部会費は、年6,000円です。

さらにさらに、政治連盟会費なるものもあり、こちらは年間で4,000円です。

行政書士の登録を維持するだけで、年間で約100,000円のお金がかかります…。

まとめ

行政書士のマーク: コスモスの花弁に「行」の字で、調和と真心を表しています。

行政書士は、書類作りの何でも屋さんであり、仕事の幅が広い職種です。

仕事の幅がとても広いので、逆に、自分の得意分野を絞らないと稼げないかもしれません。

私の場合は、「成年後見」を自分の領域 = 得意分野としています。

行政書士になるための最も一般的な方法は、試験に合格することです。

独学なら約800時間、通信講座等なら約300~600時間の勉強時間が必要だと言われています。

公務員歴が17年以上ある方は、なんと試験なしで行政書士の資格が得られます。

実際に行政書士を名乗って仕事をするためには、行政書士会に登録申請が必要です。

登録申請に必要な書類は、都道府県別の単位会に問合せをして、郵送してもらいましょう。

登録申請をして審査が通った後、案内に従い約200,000円の入会金等を納付する必要があります。

行政書士になった後も、約100,000円の年会費等の維持費がかかります。

もし、「もうちょっと、ここのところを詳しく聞きたい」等のご意見があれば、ぜひぜひコメント欄にお寄せください。随時、加筆・修正して、より分かりやすいコンテンツを目指します。

この記事で、「行政書士について少しでもわかったよ。」「行政書士の資格を取って、自力で仕事をしてみたい。」という方がいらっしゃれば幸いです。

最後までお読みいただきまして、本当にありがとうございました~。

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