「行政書士って、稼げるの?」と思う方もおられるでしょう。
今回は、「行政書士の報酬の決め方」や「行政書士の平均年収」だけでなく、「実際の私の年収」等についても、ぶっちゃけようかと思います。
「行政書士として独立・開業し、成年後見のお仕事に取り組んだ場合、3年目の年収はいくら?」
自分自身を被験者とした、稀有な実験の途中経過を大発表します。 どうぞご覧ください。
行政書士の報酬の決め方
行政書士の報酬は、なんと「それぞれが勝手に決めてもいいよ~。」ということになっています。
1,000円にしようが、100,000円にしようが、なんと自由なのです。
昔は「県が示した報酬額表」があったらしいですが、今はありません。完全に自由です。
「○○業務なら○円」というように、それぞれの事務所で「報酬額表」を決めてよいのです。
前回の「行政書士って、なに? ~行政書士になる方法~」でもお話したとおり、行政書士は仕事の幅が広い職種です。
では、実際にどんなお仕事があり、いくらが報酬の相場なのでしょうか?
参考資料として、日本行政書士会が5年に1度調査・公表している「報酬額統計調査」があります。
これを見ると、実に410件もの業務について、それぞれの報酬の最小値、最大値、平均等が掲載されています。
例えば、項番1「建設業許可申請」には390件の回答があり、最小値20,000円、最大値346,500円、平均120,458円となっています。
つまり「建設業許可申請のお仕事であれば、100,000円~120,000円の報酬額が妥当な範囲、いわゆる相場なのだな。」とわかります。
私の場合の報酬の決め方
「自分で価格を設定する」って難しいです。
公務員として18年も過ごしてきたので、開業当初は「価格設定って、なにそれ?おいしいの?」くらいの感覚でした。
私の場合、原則30,000円を報酬額として設定しています。 なぜ、30,000円か?
先ほどの報酬額の統計を見ますと、項番397に「任意成年後見契約に関する調査・起案」があり、最小値10,000円、最大値220,000円、平均値87,300円となっています。
(正確に言うと、”任意”後見と”法定”後見には、制度的な違いがあるのですが、それについてはあらためてお話したいと思います。)
私がお客さんの立場だったら「50,000円以上だと、高いなぁ…。」と思ってしまいます。
でも逆に、事業主の立場からすると「10,000円だと、生活でけへんなぁ…。」と思うわけです。
だから、その間を取って30,000円にしました。
例えば、相談1回60分5,000円とか、書類作成1枚5,000円とすることもあれば、時給5,000円×1日2時間×3日分として計算してみたり、さまざまなケースがあります。
基本的な考え方としては「なるべくすばやく仕事を仕上げて、予定以上の時間をかけてしまった時は、自分の業務効率が低いか、能力が不足しているからだと考えて、赤字として割り切ってしまおう。」という感覚です。
(なるべくすばやく仕上げる、と言っても手抜きをするという意味ではありませんよ 笑。仕事の質は高く、丁寧に、速度も求めてやります。)
ただ、経験上、間違いなく手間と時間がかかると判断すれば「50,000円でいかがでしょうか?」と最初から提示することもあります。
逆に、簡単なのですぐに終わるなと思えば「10,000円でお受けできます。」と提案することもあります。
お金に余裕のない方々の支援をしたい、という思いもあるのですが、完全ボランティアの無料でやってしまうと、今度は私がしんどくなってしまい、続けることができないので…。
売り手と買い手がお互いに一致した金額が正解になりますので、価格設定は本当に難しいです。
万人にとっての共通の正解がないため、さまざまな資料(報酬額統計調査等)も参考にしながら、自分の決断で報酬を決めることが大切なんですね。
行政書士の平均年収
全国の行政書士の平均年収は、約400万~600万円です。
これは、厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査や、その他のさまざまな情報サイト・求人サイト等を集計して得た推計値です。
実際には、年収が100万円以下の方もいれば、1,000万円以上にもなる方もいるでしょう。
本当にさまざまな働き方があるため、行政書士の資格一本でやっている方もいれば、別のお仕事も同時にやっているという方もいます。
独立・開業して個人でやっている方もいれば、行政書士事務所にスタッフとして勤めている方もいます。
行政書士事務所に勤務する方の場合、1年目の年収目安は約250万~350万円です。
これも推計値ですので、事務所のある地域や事務所の規模・仕事量・扱う業務内容等によって、当然、変わります。本人の能力が認められて、2年目以降に年収が上がる人もいるでしょう。
または、当初は行政書士事務所で勤め、経験と実績を積んでから将来的に独立するつもり、という人もいるでしょう。
調べてわかったことは「さまざまな働き方があるため、単純に平均値だけを見て、行政書士の年収が高い・低いと判断することにあまり意味はないのかも。」ということです。
それよりも重要なのは、前回もお話したように領域展開ができる(=自分の得意分野を持つ)ことこそが、年収を上げるために有効な方法なのだと、私は考えます。
知識と経験が増えることにより、仕事が速くなり、質が高まるからです。
仕事の速さと質は、報酬額に直結します。
量は、質に転化します。
間違ったやり方でいくら努力しても成果は見込めませんが、正しい方向性でしかるべき量をこなせば、王者を倒せる武器にもなり得ます。
正しい方向性は、その道の経験者やプロに聞くのが最適です。
実際の私の年収
結論から言っちゃいましょう。 これは推計値ではなく、紛れもなく実績値です!
1年目 2021(令和3)年 約10万円
2年目 2022(令和4)年 約150万円 前年比15倍!
3年目 2023(令和5)年 約380万円 前年比2.5倍!
1年目の独立直後は、直接収入につながるお仕事があるはずもありません。
これまでのつながりを活かしながら、地道に丁寧に成年後見に関する相談をやり続け、相談料等による報酬をいただき、10万円を得るのがやっとでした。
「自力で稼ぐのって、こんなに難しいのか…。」と思うと同時に、お給料が定期的に口座振込されていたころと比べたら、報酬をいただけた時の喜びは、段違いですね。5,000円でも超嬉しい。
(決して、給料収入の働き方がよくないと言っているわけではありませんので、あしからず…。)
開業1年目でも、営業力や行動力があり多才でいくつもの仕事を同時に処理できるような能力のある方は、いくらでも稼げるのでしょうが、私には無理でした 笑。
2年目は、1年目に裁判所からの正式な決定が出て、さまざまな支援をした成果として1年分の報酬がようやくもらえる時期になりました。
加えて、単発の相談料だけでなく、開業当初は想定していなかった成年後見制度の説明会講師等のプラスアルファのお仕事がいただけるようになり、100万円の大台を超えることができました。
3年目は、2年間で後見が決定した人が13人以上となり、300万円の壁を一気に突き抜けたので「次は、目指せ!400万円台!」と意気込んでいます。
(でも、自分の心と体の健康が第一ですので、時にはがんばることも必要ですが、無理しない程度にマイペースで仕事しています。)
収入の成長を実感中であり、これまで出会った全てのものに感謝しています。
まとめ
行政書士の報酬の決め方は、完全に自由です。
行政書士会による報酬額統計調査等を参考に、自分で決めることができます。
行政書士の平均年収は、約400万~600万円です。
独立・開業し、トップクラスに稼いでいる人は、1,000万円を超えるでしょう。
事務所に雇用されている人は、1年目は約250万~350万円くらいですが、本人の経験・実績・能力次第で年収増加も可能でしょう。
私の2022(令和4)年の年収は約150万円でしたが、2023(令和5)年は約380万円でした。
これからもお仕事を続けて、収入が上がっていくように、がんばるます!
(今回の漫画ネタは、出番順に、安西先生とネテロとアーニャでした。)
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今回も最後までお読みいただきまして、本当にありがとうございました~。
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